■2011年、満塁ホームランから始まった伝説
2011年。首位打者を獲得した長野久義は、巨人が優勝を決めたその日に満塁ホームランを放った。
あの一打は、セ・リーグ三連覇の流れを作り、球史に残る瞬間となった。
さらに、その年の走塁死はわずか一度。
2010年の新人王シーズンには、最終戦で逆転サヨナラ打を連発し、
ファンが「長野タイム!」と叫んでいたあの瞬間――。
まるで、野球漫画の主人公が現実に飛び出してきたようだった。
■チームの“兄貴分”として
巨人時代、長野は外国人選手たちの良き兄貴分だった。
言葉が通じなくても、笑顔とジェスチャーで心をつなぐ。
阪神戦では、キャベッジが落ち込んでいた時に「大丈夫だ」と肩を抱いて励ます姿がテレビに映し出された。
外国人選手からは「チョウノはビッグヘルプ」と呼ばれ、信頼を集めていた。
マイケル・アリスには「今日の日本語」コーナーを作り、毎日ひとつずつ日本語を教えていた。
最後には「ありがとう」だけ完璧になってシーズンを終えるという、なんとも微笑ましいエピソードも残っている。
■阿部慎之助との“ブロッコリー事件”
新人時代、ファームの食堂で毎日のようにカツカレーを食べていた長野に、阿部慎之助が一言。
「野菜も食え!」
そう言って、ブロッコリーを山盛りにして乗せた。
「これ何ですか…?」と固まる長野に、阿部が真顔で言った言葉は――
「俺の愛だよ。」
その日から長野は毎食ブロッコリーを積むようになったという。
厳しさの中に優しさがある。それが、巨人というチームの温度だった。
■子どもたちに愛された“やさしいヒーロー”
オフの野球教室では、最後まで子ども全員とハイタッチ。
「背番号いくつ?」と聞かれると、指で“6”を描いて教える姿に、笑顔がはじけた。
「長野さん!」と名前を呼ぶ子どもたちの声が、今も耳に残る。
グラウンドの中でも外でも、長野はずっとヒーローだった。
■2025年、引退シーズンの記録
2025年シーズン、長野久義は17試合に出場。
24打席・22打数・3安打、打率.136(出塁率.208)。
打点0・得点1・三振8・四球2。
右投手には打率.128と苦戦しながらも、左投手には**.350**と鋭い当たりを見せた。
阪神戦ではヒットこそ出なかったが、最後までバットを振り抜いた姿にファンの声援が止まらなかった。
そして、通算1512安打・打率.283。
1500本を超えるヒットを積み上げたその軌跡は、努力と誠実さの象徴だった。
■家族と迎えた、静かなラストシーン
引退会見のあと、家族と一緒に撮った写真。
子どもがスマホを構え、そっと長野の肩に手を回す。
それはただの家族写真なのに、なぜか胸が熱くなった。
記者に「後輩に奢りまくってた」と暴露されて、
「いや、そんな大したもんじゃないよ」と照れ笑い。
その飾らない笑顔がまた、人を惹きつける。
SNSでは「長野さん 神」がトレンド入り。
最後まで、自然体でかっこいい人だった。
■岡本和真との“笑い合う打順争い”
昨年のキャンプで、岡本が「俺、次三番打とうかな」と冗談を言うと、長野が即座に返す。
「いやいや、俺が四番だから!」
そして「でもお前が三番でもいいけどな」と肩を叩き、二人で大笑い。
その様子を見たファンが「ダブル長野時代くるぞ!」とSNSで盛り上がった。
ふざけ合いながらも、信頼で結ばれた関係――それが“巨人の絆”だった。
■ありがとう、長野久義
ヒーローなのに、どこまでも自然体。
豪快なスイングの裏にあるのは、仲間を思う心と、優しさ、そして笑顔だった。
数字以上に、人として愛された選手。
その姿は、これからもファンの心に生き続ける。
ありがとう、長野久義。
あなたの笑顔は、巨人のユニフォームとともに、永遠に忘れられない。
■2025年、引退シーズンの記録
2025年シーズン、長野久義は17試合に出場。
24打席・22打数・3安打、打率.136(出塁率.208)。
打点0・得点1・三振8・四球2。
右投手には打率.128と苦戦しながらも、左投手には**.350**と鋭い当たりを見せた。
阪神戦ではヒットこそ出なかったが、最後までバットを振り抜いた姿にファンの声援が止まらなかった。
そして、通算1512安打・打率.283。
1500本を超えるヒットを積み上げたその軌跡は、努力と誠実さの象徴だった。
■長野久義 通算成績(NPB 公式記録より)
| 項目 | 記録 | 備考 |
|---|---|---|
| 試合数 | 1,474試合 | 2009–2025年 |
| 打席数 | 5,582 | – |
| 打数 | 5,343 | – |
| 安打 | 1,512本 | 通算打率.283 |
| 本塁打 | 161本 | 最多22本(2012年) |
| 打点 | 590打点 | – |
| 盗塁 | 96 | – |
| 出塁率 | .349 | 通算 |
| 長打率 | .423 | 通算 |
| OPS | .772 | バランス型打者 |
| タイトル | 首位打者(2011)・新人王(2010)・ベストナイン2回・ゴールデングラブ3回 | – |
長野のキャリアは派手さよりも“安定と誠実”。
1,500本を超える安打、通算OPS.772という数字が示すのは、
チームを支え続けた「職人」としての存在感だった。
彼のスイングには、いつも笑顔と信頼があった。


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